七発目「

去年の夏台風の夜のこと、そんなにでかい台風ではなかったが、雨は強く
ちょっと肌寒い感じで風も強くふいていた。借りいたビデオを返しに行っ
た帰り、タバコと缶コーヒーを買おうと思い。コインステーションによっ
たら、カッパを着て缶ジュースを飲みながら座っている、大学生くらいの
男が一人いた。学生が夏休みの間はよく見かける自転車やバイクの旅人だ
ろう、近くには両側にバッグのついた自転車がおいてあった。時間は遅く
夜１０時をまわっていた。買い物のすませていったん車にもどってフロン
トガラスの向こうにいる男をしばらく見ていた。コインステーションは屋
根もひさし程度のものしかなく、カッパを着てはいたが男の体はずぶ濡れ
だった。俺が見ていることに男も気付いていて、たまに目があっていたの
で俺は車の窓を開けて、
「自転車で旅行してるの」
っと話し掛けると、雨の音で聞こえにくいのか、男が車のほうによってき
たもう一度旅行しているのかってきくと、
「はい、○○県からきました。もう６日目です」
「この雨じゃ動けないね、多分明日はもっとふるんじゃないかな？台風き
　てるのはしってる？」
男は台風がきていることを知らなかったようで、少し困ったような顔をし
ていた。いろいろと話しをすると、初めての一人旅であまり計画性もなく
出発してしまって、今来ているカッパも自転車には合わないレインコート
のようなもので、ズボンもハーフたけのものしか持ってきてないようだ。
「それじゃぁ寒いだろ」
「はい寒いです」
多少声が震えていたように思えた。そこで俺は好感のもてる男だったので、
「俺ン家一人暮らしだし、明日から連休で休みだから、雨宿りしにくる？」
っと聞くと、かなり喜んだ口調で
「いいんですか？はい、よろしくお願いします」
俺は１キロくらい先の自宅までの行き方を説明して先に車をだした。先に
家の戻り傘をさして、近くの通りで男の自転車がくるのを待っていたら、
数分して男がやってきた。家の門の中に男の自転車を入れて玄関に入れた。
「濡れるなぁ、そこで濡れないように服脱ぐか？今タオルもってきてやる」
「あっそうですね、濡れちゃいますね」
っといってカッパを脱ぎ始めた。最初はカッパでよく分からなかったが中